和牛のお取り寄せは表示で選ぶ|「和牛」と「国産牛」の違い、個体識別番号、A5の意味
【PR】この記事には広告が含まれています。
確認日:2026年10月3日(制度やサービスの情報は、この日に公式サイトで確かめました)
お取り寄せの和牛を選ぶとき、「黒毛和牛」「国産牛」「A5」といった言葉がよく目に入ります。どれも良さそうに見えますが、実はそれぞれ、表しているものがちがいます。
言葉の意味が分かると、商品ページや届いた包装の表示から、自分で確かめられることが増えます。この記事では、農林水産省・消費者庁・家畜改良センター・日本食肉格付協会などの公開情報をもとに、「和牛」と「国産牛」のちがい、個体識別番号の調べ方、格付けの読み方をまとめました。
※この記事は、食べた感想ではありません。公式の情報をもとに整理しています。制度や配送の条件は変わることがあるので、最新の情報は記事の最後にある公式ページで確かめてください。
この記事の目次
- 「和牛」と「国産牛」は表しているものがちがう
- 「黒毛和牛」「WAGYU」「交雑種」の見分け方
- 個体識別番号は通販の牛肉にも表示される
- 検索サービスで分かること・分からないこと
- 「A5」などの格付けは何を表している?
- 注文前と届いたあとのチェックリスト
1. 「和牛」と「国産牛」は表しているものがちがう
先に結論を言うと、「和牛」は牛の品種と国内での生まれ育ちを、「国産牛」は日本で育った期間の長さを表す言葉です。
農林水産省の検討会が2007年にまとめた「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」では、「和牛」と表示できる牛肉を、次の両方を満たす牛の肉としています。
- 黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種か、これらをかけ合わせた交雑種であること(家畜の登録制度などで証明できること)
- 国内で生まれ、国内で育てられたこと(牛トレーサビリティ制度で確かめられること)
一方の「国産牛」について、農林水産省は、品種や生まれた土地に関係なく、生まれてから出荷までの間、最も長く日本で飼育された牛だと説明しています。消費者庁の食品表示基準Q&Aでも、牛肉などの「国産品」は、国内で育てた期間が外国での期間より長い家畜を、国内でと畜したものとされています。外国で生まれた牛でも、日本で育った期間のほうが長ければ「国産」です。
なお、「和牛」と書く場合も、原産地の表示は別に必要です。国産の牛肉は、「国産」と書く代わりに、いちばん長く育った場所(主たる飼養地)の都道府県名などを書くこともできます。
| 表示の例 | 表しているもの |
|---|---|
| 和牛 | 4品種とその交雑種で、国内で生まれ育った牛の肉 |
| 国産(国産牛) | 品種に関係なく、日本で育った期間がいちばん長い牛の肉 |
| ○○県産 | 国産で、いちばん長く育った都道府県が○○県の牛の肉 |
| 外国の国名+産 | その国で育った期間がいちばん長い牛の肉(輸入品) |
2. 「黒毛和牛」「WAGYU」「交雑種」の見分け方
ガイドラインでは、和牛とまぎらわしい言葉にも決まりがあります。
- 「WAGYU」「わぎゅう」「ワギュウ」:和牛の条件を満たすものだけに使える
- 「黒毛和牛」「褐毛和牛」などの品種名:和牛の条件を満たすものだけに使える
- 「黒牛」など「黒」の字を使った表示:黒毛和種ではない牛の肉に使うときは、品種名などをいっしょに書く
見落としやすいのが「交雑種」です。家畜改良センターによると、日本の交雑種は、乳牛のホルスタイン種の雌に黒毛和種の雄をかけ合わせて生まれた牛が大多数です。東京都芝浦食肉衛生検査所は、「食肉の表示に関する公正競争規約」にもとづき、和牛と乳牛の交雑種は「和牛」と表示できないと説明しています。消費者庁も、交雑種の牛肉に「黒毛和牛」と表示することを、食品表示基準で禁止されている表示の例に挙げています。
「○○牛」のように地名の入った銘柄名だけでは、原産地を表しているとは限りません。銘柄の地名と、いちばん長く育った場所の都道府県がちがうときは、原産地も書くことになっています(消費者庁)。銘柄と地理的表示(GI)の話は、関連記事にまとめています。
3. 個体識別番号は通販の牛肉にも表示される
牛トレーサビリティ制度では、国内で飼われる原則すべての牛(輸入された牛を含む)に、10桁の個体識別番号を印字した耳標(耳に付ける札)が付けられます。番号ごとに、性別や種別(黒毛和種など)、生まれてから、と畜されるまでの飼養地などが記録されます(農林水産省)。
国産の牛肉を売る販売業者は、この番号を表示しなければなりません。インターネットで売る場合も同じで、農林水産省は、包装や送り状などの見やすい場所に表示するよう案内しています。番号の代わりにロット番号を書くときは、問い合わせ先もいっしょに表示します。ふるさと納税の返礼品として送られる牛肉にも、番号の表示が必要です。
ただし、次のものは番号の表示の対象外です(農林水産省)。
- 牛肉を原料にして作った加工品や調理品(コンビーフなど)
- 舌(タン)、ひき肉、くず肉など
4. 検索サービスで分かること・分からないこと
番号は、家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」で調べられます。10桁の番号を入れて検索すると、その牛の種別、雌雄の別、出生の年月日、生まれた場所(または耳標を付けた場所)、それまでの飼養地などが表示されます。
結果を読むときは、次の点を知っておきましょう(家畜改良センター)。
- 情報は、牛を飼う人などの届け出にもとづくもので、原則として第三者の認証を経たものではない
- 受精卵移植で生まれた牛は、実際に産んだ母牛が表示されるため、子が黒毛和種でも、母牛がホルスタイン種のことがある
- 届け出の遅れなどで飼養地の一部が表示されないことがあり、この画面だけでは原産地を判断できない場合がある
また、家畜改良センターは、この制度は「誰が」「どこで」「いつ」飼っていたかを追跡するもので、牛肉の品質に関する情報は記録していないとしています。品質を知りたいときは、購入した店に問い合わせるよう案内しています。
商品の表示と検索結果がちがうなど、疑問を持ったときは、まず販売店に確かめましょう。地方農政局などの「食品表示110番」でも、表示についての情報を受け付けています。
5. 「A5」などの格付けは何を表している?
「A5」「A4」などは、公益社団法人日本食肉格付協会が、農林水産省の承認を得て定めた「牛枝肉取引規格」による等級です。協会は全国の食肉卸売市場などで、取引される枝肉を1頭ごとに格付けしています。枝肉とは、と畜後に内臓を除き、縦に2つに分けた骨付きの肉のことです。格付けは、取引のための全国共通の品質の目安として使われています。
| 表示 | 何の等級か | 見るところ | 段階 |
|---|---|---|---|
| A・B・C | 歩留等級 | 枝肉からとれる部分肉の割合(歩留まり) | A(標準より良い)、B(標準)、C(標準より劣る)の3段階 |
| 5〜1 | 肉質等級 | 脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質の4項目 | 5〜1の5段階(3が標準) |
肉質等級の段階は項目ごとに言葉が決められていて、たとえば脂肪交雑なら5が「かなり多い」、1が「ほとんどない」、肉の色沢なら5が「かなり良い」、1が「劣る」です。そして4項目それぞれの等級のうち、いちばん低いものが肉質等級になります。つまり「A5」は、歩留まりがAで、肉質の4項目がすべて5と判定された枝肉です。肉質は主に、第6〜第7肋骨の間で切り開いた断面(ロースしんなど)で判定します。
知っておきたいのは、この規格が品種・年齢・性別にかかわらず、すべての枝肉に使われること(子牛を除く)です。「A5」は和牛かどうかを表すものではありません。和牛かどうかは、1章で見た「和牛」の表示と原産地で確かめましょう。
6. 注文前と届いたあとのチェックリスト
- 「和牛」「黒毛和牛」などの言葉と、原産地(国産・都道府県名など)の両方を確かめた
- 「国産牛」は育った場所の表示で、品種を表すものではないと分かっている
- 「交雑種」「WAGYU」など、まぎらわしい言葉の意味を確かめた
- 届いた包装や送り状に、個体識別番号(またはロット番号と問い合わせ先)がある
- 加工品・ひき肉・タンは、番号の表示の対象外だと知っている
- 「A5」などの等級は歩留まりと肉質の評価で、和牛かどうかとは別だと分かっている
- 表示に疑問があれば、販売店と「食品表示110番」に相談する
まとめ
和牛のお取り寄せで迷ったら、言葉の意味に戻って考えましょう。「和牛」は品種と国内での生まれ育ち、「国産牛」は日本で育った期間の長さ、「A5」などは枝肉の歩留まりと肉質の評価です。3つはそれぞれ、別のことを表しています。
届いたら、包装や送り状の個体識別番号で、その牛がいつ・どこで生まれ育ったかを調べられます。表示を自分で確かめられるようになると、写真や言葉の印象だけに頼らずに選べます。
参考にした情報(2026年10月3日に確認)
- 農林水産省(食肉の表示に関する検討会)「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」(2007年3月20日)
- 農林水産省 aff 2020年9月号「誰かに話したくなる お肉の豆知識」
- 消費者庁「食品表示基準Q&A 第3章 生鮮食品」
- 東京都芝浦食肉衛生検査所「食肉のQ・A その他1 Q10-Q14」
- 農林水産省「牛・牛肉のトレーサビリティ」(パンフレット)
- 農林水産省「パック詰めの牛肉に書いてある個体識別番号とは何ですか。」
- 農林水産省「インターネットを通じて牛肉の販売を行う販売業者の皆様へ」
- 農林水産省「ふるさと納税の返礼品である牛肉にも個体識別番号の表示が必要です」
- 家畜改良センター「牛の個体識別情報検索サービス」(ご利用の手順・利用上の注意・FAQ A-4・A-5・A-9)
- 農林水産省「食品表示110番の開設窓口一覧」
- 公益社団法人日本食肉格付協会「食肉格付とは」「牛枝肉取引規格」
